専門家相談 - PL法について

FAQ No.923

相談内容:

弊社は、ドラム缶の再生業を主としておりますが、PL法の施行に伴い、事故発生に備えPL法に低蝕した際に保証のある保険に加入しております。ある業者から、新缶の製造でないので製造物責任は直接かからないと聞き、保険も無駄ではないかということになるのでこの部分につきご教授お願いいたします。

回答:
T.ご相談の趣旨ドラム缶の再生に関する製造物責任法の適用の有無について。
U.回答の趣旨及び理由
1製造物責任法は、「製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造物者等の損害賠償の責任」を定めています(1条)。そして、「製造物」とは、「製造又は加工された動産」と定義されています(2条1項)。
2さて、「修理」「修繕」「整備」は、新たな物を作り出す(製造)又は新しい属性を付加している(加工)とは言えませんので、「製造又は加工」には当たらず、製造物責任法は適用されません。従いまして、客観的に見て、ご相談の再生業務が、ドラム缶の修理等に止まると評価される場合には、製造物責任法は適用されないことになります。
3一方、「再生品」は、「劣化、破損等により修理等では使用困難な状態となった製造物について当該製造物の一部を利用して形成されたもの」で、基本的には「製造又は加工」に当たると評価される場合には、製造物責任法が適用されます。そして、「再生品」を「製造又は加工」した者が製造物責任を負うことになります。
従いまして、ご相談のドラム缶の再生した製品が、ここにいう「再生品」に該当する場合には、「再生品」を「製造又は加工」した者として製造物責任を負うことになります。
逐条解説製造物責任法≠謔阡イ粋
《製造又は加工》
(1)「製造」および「加工」の概念:「製造」とは、製品の設計、加工、検査、表示を含む一連の行為として位置づけられ、一般には「原材料に手を加えて新たな物品を作り出すこと。生産よりは狭い概念で、いわゆる第二次産業に係る生産行為を指し、一次産品の産出、サービスの提供には用いられない」(内閣法制局法令用語研究会編・法律用語辞典有斐閣)とされている。
また、「加工」とは、「動産を材料としてこれに工作を加え、その本質は保持させつつ新しい属性を付加し、価値を加えること」(同用語辞典)である。「製造」という用語は、法令上頻繁に用いられており、その使い方もさまざまであるが、広義で、すなわち生産に近い意味で製造の概念を用いたい場合や製造以外の概念を含めたい場合は、たとえば「流通食品の製造(採取及び加工を含む。)」(流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特別措置法第三条第三項)や「物品又は製品の製造、加工、修理若しくは販売」(再生資源の利用の促進に関する法律第二条第一項)のように製造以外の概念を明示するという方法がとられている。
本法において製造物を定義するに当たっても、「製造された動産」という規定では、「製造」という語を広義の意で用いているのか狭義で用いているのか不明確であり、製造物責任の目的とするところからいって法の対象となるべきものであるのかどうか疑義が生じるようなものが出てくるという問題点があった。たとえば、一連の製造過程を経た完成品は、まさに「製造された動産」に該当するが、製造過程の途中段階にあるとも考えられる半製品、部品、附属品または原材料など、他の製品を構成する物も本法の対象とされるべきものと考えられる。
また、いわゆる第一次産業や第三次産業における動産に対する人為的な操作や処理は、狭義の「製造」という概念では捕捉しきれない可能性がある。こうしたことを踏まえて、本法においては「製造」の概念を狭義で用いることとする一方、新たな属性を付加するという意味で広義の「製造」に含まれる「加工」という概念を明示することとした。
(2)「加工」と「未加工」の区分:「加工」か「未加工」かの判断は、具体的には個々の事案において当該製造物に加えられた行為等諸々の事情を考慮し、社会通念に照らして判断されるものであるが、上記の概念に則していくつか整理し例示すれば、たとえば加熱(煎る、煮る、焼く)、味付け(調味、塩漬け、燻製)、粉挽き、搾汁などは「製造又は加工」に当たると考えられるのに対し、単なる切断、冷凍、冷蔵、乾燥などは基本的には「製造又は加工」に当たらないと考えられる。
したがって具体的には、生乳、鶏卵、冷凍・冷蔵した肉・魚は未加工と考えられるのに対し、牛乳、小麦粉、砂糖、菓子、ジュース、ハム・ソーセージは加工されているものということになる。
(3)その他類似の概念との関係:「修理」「修繕」「整備」は、基本的にある動産に本来存在する性質の回復や維持を行うことと考えられ、新たな物品をつくりだす、または新しい属性を付加しているとはいえないと解されることから「製造又は加工」には当たらないと解される。また、「設置」は製造物が流通におかれた後の問題であることから、これも同様に考えられ、基本的に「製造又は加工」には当たらない。しかし、「改造」「改良」などは、新しい属性が加えられているものとして「製造又は加工」に当たると解される。
《具体的な例》
(1)自然産物:自然の力を利用して生産される自然産物については、高度に加工された工業製品とは生産形態に著しい差異があり、当該動産に対して人為的な操作や処理が加えられているものとは評価しえないため、本法の対象としない。したがって、未加工の農林畜水産物、採掘されたままの鉱物等は対象とならない。作物の栽培、家畜の飼育、種子の増殖、水耕栽培、養殖水産物等も、基本的には自然の力を利用した生産行為であるので「製造又は加工」には当たらないと解される。
(2)中古品:中古品であっても「製造又は加工された動産」に該当する以上は、製造物であって、本法の対象となり、製造業者が当該製造物を引き渡した時に存在した欠陥と相当因果関係のある損害については賠償責任を負うこととなる。ただし、中古品として売買されたものについては、
@以前の使用者の使用状況や改造・修理の状況が確認しにくいこと
A中古品販売者による点検、修理や整備などが介在することも多く、製造業者の責任の有無については、このような事情を踏まえて判断されること
となる。
(3)廃棄物:廃棄物であっても「製造又は加工された動産」に該当する以上、製造物に当たる。しかし、廃棄物が再利用され、それに起因する事故が発生した場合には、廃棄された物は、もはや製品として利用することが予定されていないという事情を考慮して、通常は欠陥のある製造物とは判断されないものと考えられる。
(4)再生品:再生品は、劣化、破損等により修理等では使用困難な状態となった製造物について当該製造物の一部を利用して形成されたものであるが、基本的には「製造又は加工された動産」に当たる以上は本法の対象となり、再生品を「製造又は加工」した者が製造物責任を負う。この場合、再生品の原材料となった製造物の製造業者については、再生品の原材料となった製造物が引き渡された時に有していた欠陥と再生品の利用に際して生じた損害とに因果関係がある場合にのみ製造物責任が発生する。


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