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ちょっと耳より 経営知恵袋 バックナンバー

 



【 質 問 】

 在職中に発明をした従業員が退職することになりました。会社では出願し登録報奨金を払いました。その従業員は発明者個人として会社に譲渡した発明を実施したいと言ってきました。

 このような場合に譲渡先の会社と退職した発明者個人とで、実施許諾契約を結ぶ必要があるでしょうか。また、発明者個人に無償実施権はあるでしょうか。

  
2002年07月16日 火曜日
【 回 答 】

 結論から言いますと、契約を締結する必要があります。

 職務発明については、従業員が特許を受ける地位を有するのが原則であり、会社が特許権ないしは特許を受ける地位(以下特許権等という)を有するためには、従業員と個別の譲渡契約を締結するか就業規則等によって会社が権利を承継すべきことを規定しておかなくてはなりません。他方、会社は特許権等を承継しなくても当然に法定の通常実施権を有します(特許法第35条1項)。

 会社は職務発明について当然に法定実施権を有しますが、それ以上の排他的な権利を取得したければ従業員との間で個別の譲渡契約を締結するか就業規則等で権利の承継(予約承継)を定めておかなくてはならないということになります。

 そして、特許権ないしは特許を受ける地位を会社に譲渡した以上、発明者たる従業員には発明者人格権(発明者としての名誉権、例えば出願に発明者として氏名を表示されること等の権利)は残りますが、特許の実施権は喪失することになります。

 この間の会社と従業員との利害の調整は、適切な対価を受ける権利を従業員に認めることによってなされています。従いまして、従業員が会社への権利譲渡後に特許を実施するためには実施許諾契約を会社との間で締結する必要があります。

 もし、発明した従業員が無断で実施した場合には特許権を侵害したということにより刑事罰(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)があります。上述のとおり発明者個人は、会社に特許権を譲渡した以上有償無償を問わず、実施権はありません。



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