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ちょっと耳より 経営知恵袋 バックナンバー

 



【 質 問 】

 適格退職年金制度から中小企業退職金共済制度への引継について教えて下さい。

  
2002年06月24日 月曜日
【 回 答 】

 現在、運用環境の悪化による適格退職年金制度の積立不足が問題となっておりますが、適格退職年金制度とは、もともと確定給付型の退職年金制度です。確定給付型というのは、将来、退職金としていくら支払うかが事前に定めてあり、その定められた金額にむけて毎月の掛金を支払っていくものです。

 また、掛金は予定利回りを計算し複利で運用されます(将来1,000万円の退職金を支給するため、1,000万円を何十年かに分割して掛金として丸々積み立てるのではなく、何十年の間に○○%の複利で運用していくため掛金の合計は500万円程度で済むはず)ので、単純に考えれば予定していた利回りを実際の運用が下回ると掛金を上げる必要があります。

 一方、中小企業退職金共済制度は、確定拠出型の制度です。確定拠出型とは、将来の退職金がいくら貰えるかが決められておらず、毎月の掛金が決められているものです。

 ですから、適格退職年金制度から中小企業退職金共済制度への移行は、確定給付型から確定拠出型への移行であると言えます。ただし、適格退職年金制度や中小企業退職金共済制度はあくまでも退職金原資の準備方法です。一般に各企業の退職金制度は、退職金規程によって勤続何年の者にいくら支払うと定められており、退職金の支払や金額の根拠は、退職金規程で決まります。

 退職金原資の準備方法とは、退職金規程による退職金額を支払うために外部の生命保険会社や信託銀行などと契約をし支払の準備をしておくことです。つまり、退職金原資の準備方法を確定拠出型に変更したとしても、退職金規程などが退職金額が定められた確定給付型のものとなっていると、従業員に対してはあらかじめ退職金規程に定められた退職金額を支払う必要があります。

 もし、退職金制度自体を確定拠出型のものにするには、退職金規程も退職金原資の準備方法の変更と合わせて確定拠出型に見直すことも必要です。

 また、この取扱いは平成14年4月1日に施行された確定給付企業年金法によるものです。手元にある独立行政法人勤労者退職金共済機構の資料がありますので、簡単に内容をご紹介しておきます。

1.移行対象者

  • 平成14年4月1日の時点で、現に適格退職年金契約(以下「適年契約という。」を締結しており、かつ、平成24年3月31日までの間に、中退共制度への移行を理由に適年契約を解除し、新たに中退共制度に加入する中小企業者。
 ※ 適年制度から中退共制度への移行申出の日において、現に中小企業退職金共済契約を締結している事業所は移行できません。

2. 移行要件

  • 対象になる中小企業者が機構・中退共に対し、中退共制度への加入と同時に移行を申し出ること。
  • 適年契約相手方(通年契約受託機関等)は、当該通年契約に係る従業員 注1 ごとの退職年金等積立金(従業員持分額)の範囲内の額(以下「引渡金額」という。) 注2 を一括して、機構・中退共が引渡口座を指定した日から60日以内 注3 に機構・中退共に引き渡すこと。

  注1 既に退職している従業員および中退共制度へ移行を行なわない従業員を除いたもの。
  注2 中退共制度へ引き渡せる額は従業員本人負担分を除いたもの。
  注3 適年契約における資産の引渡期限は平成24年3月31日まで。

3.移行の概要

  • 適年制度からの引渡金額と加入申込時の掛金月額により、掛金納付月数に換算 注1 し、当該月数分中退共制度で掛金を納付したものとして通算します。ただし、適年契約の受益者等であった期間の月数を超えることはできません。
  • 引渡金額のうち掛金納付月数に換算できない額(残余の額)は、一定の利息 注2 をつけて退職金額に加算します。
  • 適年契約における従業員持分額の、全額を引渡金額とすることができます。また従業員持分額の一部を引渡金額とすることもできます。

  注1 掛金納付月数に換算する額は、引渡金額の範囲内で中退共制度への申込時における掛金月数と適年契約の受益者等であった期間により算定した額が最高の額となるよう法令により定められています。
  注2 中退共制度予定運用利回り(現行1%)に、当該年度に厚生労働大臣が定める率を加えたものの年複利計算による元利合計額。

4.移行時における留意点

過去勤務期間の通算制度適用除外
通年契約からの移行により中退共制度に加入した従業員は、過去勤務期間通算の申し出はできません。
新規加入掛金助成の適用除外
通年契約からの移行により中退共制度に加入した事業主は、新規加入掛金助成の対象にはなりません。
移行後の退職金額
中退共制度での基本退職金は、掛金月額と掛金納付月数(通算された納付月数を含む)によって計算されます。したがって、移行後の掛金納付月数が少ない場合は、引渡金額と中退共制度加入後の掛金総額の合計額より下回ることがあります。


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