|
【 回 答 】
賃金は労働条件のうち、最も基本的なものです。そもそも労働条件は、労働基準法第2条「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」とされ、双方の合意によって締結するものです。つまり、労働条件の変更は労働者に有利な変更であっても、不利益な変更であっても、労働者の同意を得て行うことが大原則ですので、労働者の同意を得て行って下さい。
もしくは、変更に伴う代償措置を尽くし不利益をできる限り緩和するなど労働者の同意を得るための努力をする必要があるでしょう。
同意を得ることができれば問題ありませんが、同意を得れなかった場合に変更を強行し、反対する労働者を含めた労働者全員に変更を適用した場合は、労働者から一方的な不利益変更であり無効であると訴えられる危険があります。
この場合、問題となるのは労働条件の変更が合理的であるかどうかです。
判例によれば「新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない」とし、その変更が合理的なものである限り労働者に不利益な変更をしても有効に適用されるという考え方を示しています。
合理性の判断基準にはっきりとしたものはありませんが、判例によれば以下のような基準により総合的に判断が行われます。
(1) 労働者が被る不利益の程度
(2) 会社の必要性の程度・内容
(3) 変更内容自体の相当性
(4) 代償措置その他の労働条件の改善状況
(5) 労働組合などとの交渉の経緯
(6) 他の労働組合・他の従業員の対応
(7) 同種事項に関する社会一般の状況
など、総合的に考慮して合理性の有無が判断される。(なお、賃金、退職金など重要な労働条件の不利益変更については、そのような不利益を労働者に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものでなければならない)
また、会社業績悪化については、平成6年9月14日 東京地裁判での判決があり、会社業績が悪化してこのまま放置すれば買収・合併など企業の存続の危機に陥ることが予測され、「これに対する合理化策として整理解雇の方向が想定されたが、より犠牲の少ない賃金調整という方法をとった」とする会社側の主張に対して、「たとえ整理解雇回避のための措置として行った賃金調整であっても、労働契約中賃金という重要な要素を各原告の同意を得ることなく一方的に変更する明確な根拠とはならない」と判示していますので、労働者の同意が得られなかった場合は、貴社においても慎重に対処することが必要と思われます。
|